カテゴリ:論文( 36 )

生物学における永遠のテーマは進化か?

京都大学の研究成果のページを読んでいたら、とても面白かった。

鯨類の化学感覚能力の一端を解明

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/150304_1.html
ヒゲクジラ類という、イルカ的な生き物の中でもハクジラより早く進化的に分岐した種における、嗅球の形状を組織学および比較ゲノム学の両面から調査した論文。
結果、ヒゲクジラ類の嗅球には背側の領域が存在しないことがわかった。
2007年のNature誌で、坂野研が嗅球の背側領域を欠損するマウスを用いて、天敵や腐敗物のニオイに対する先天的な忌避行動を示さないことが報告されている。ヒゲクジラ類も、進化の過程でこうした忌避行動につながる嗅覚能力を失った可能性が示唆された。また、全ての現生鯨類は、甘味やうま味、苦味を感知するための遺伝子を失っていることがわかった。

つまりクジラ・イルカの類いは食べ物を食べても美味しいと感じることは無い、ということを示唆している。
それはどんな気分なのだろう。プランクトン食のクジラなら、まあ味がわからなくても別にいいか、となりそうだけど、イルカに関して言えば、魚を追うモチベーションはどこからくるのだろう。ひもじい、の一点なのだろうか。それはなんだか悲しい気がする。

しかし進化の過程で、背側領域から抜けていく(と言い切るのは語弊があるかもしれないが)というのは興味深い。
天敵や腐敗物のニオイを感知する能力を切り捨てて、視覚やエコーローケーション能力を発達させることで補っていったのだろうか。

紀伊半島におけるニホンザル苦味感覚の進化 -野菜や柑橘類の苦味をわからないサルが急速に拡散した-

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/150723_1.html

ニホンザルでもPTC(フェニルチオカルバミド)に対する苦味を感じない個体がいることを発見された。「苦味感覚の退化がもたらす遺伝子の進化」という一見逆説的な現象が証明されたのははじめて、だそうだ。

本研究成果では(1)この変異遺伝子は機能的なタンパク質をつくらないこと(2)この変異遺伝子を持つ個体はPTCに対する苦味感覚が減弱していること、さらに、日本の17地域約600個体のDNAを用いた分子進化的解析により、(3)この変異遺伝子は紀伊半島西部の群れに限局していること(4)この地域では変異遺伝子が約30%の頻度をもつが、この現象は偶然には起こりえない、つまり適応的に変異遺伝子が広まったことが示唆された。

サイエンス番組でもよく「退化という進化」というテーマが扱われるが、これもそれの一つといえるだろう。データを見る限り、PTCが含まれると飲む水の量が減るということは、「嫌だ」と感じていることが示唆される。単純に考えて、苦い柑橘類でもかまわずガツガツ食べられるほうが栄養がとれるわけだから、それだけ生存に有利だろう。でもこういう問題の検証が、進化を扱う研究で難しいところなのかもしれない--つまり苦い柑橘類だらけの果樹園に普通のサルを放し飼いにして、自然とPTC非感受性の個体を出現を待つ、というアプローチは不可能に近い。研究グループは「似たような進化をした例がないか探索する」というのを今後の展開としているが、これが妥当な次の一手なのだろう。

他の感覚、たとえば視覚や嗅覚に関してはどうだろう。視覚だと色盲が思い浮かぶが、進化の過程で出現した遺伝子変異なのかどうか、研究された例はあるのだろうか?たとえばあえて色の情報をなくしてグレースケールにすることで、よりコントラストがハッキリ見えるようになる、といった進化的な「利点」があったりするのだろうか。

嗅覚に関しては、ある特定の匂いを「芳香」と感じるか「不快」と感じるか、匂い分子の受容体の遺伝子変異によって決まることが知られている。こういう現象にも選択圧がかかっていたりするのだろうか。おもしろいなあ。



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by 5-gekkostate-3 | 2015-09-02 06:43 | 論文

おなかがすくと神経回路が変化する?

マックスプランク研究所は、ハエにおいて空腹が行動を変化させるだけでなく、神経回路を変化させることを発表した。この研究から、空腹は決断(decision making)に影響を与え、リスクの感度を変化させることが示唆された。

おなかがすくと機嫌が悪くなる。食事をちゃんと摂ることは機嫌だけでなくリスクを負う行動にも影響を与える。これは動物界に広く当てはまる現象だと考えられている。マックスプランク研究所において研究者らは、ショウジョウバエ Drosophilaにおいて、空腹は行動を変化させるだけでなく、脳における回路を変化させていることを示した。

動物の行動は、食事があるかどうかとか、食事の量は十分か、といったことに左右される。多くの研究から、動物が空腹の場合、リスクを負ってでも食べ物をとりにいくことが証明されている。この行動は、人間にも当てはまることが近年報告されている:ある研究によると、空腹な被験者はそうでない者より有意に金銭的なリスクをとるらしい。

さて、実験動物であるハエももちろん栄養状態に依存して行動を変化させる。彼らはごく低濃度の二酸化炭素を危険なシグナルとして感知することができ、逃げるために飛ぼうとする(実験室では二酸化炭素はハエの麻酔として使われる。)しかしながら、彼らの主なエサである腐った果物や植物もまた、二酸化炭素を出している。つまり、二酸化炭素を危険性のある物質と捉えるか、食べ物が周辺にあることを示唆する物質と捉えるか、脳は正反対の決断を常に下さなければならない。遺伝学に強いハエを用いて、行動だけでなく神経回路の変化が明らかとなった。

研究者らは、ハエを空腹なものと食べ物を十分与えられている群に分け、「二酸化炭素のみ」あるいは「二酸化炭素+食べ物の匂い」に晒した。この実験から、空腹なハエは二酸化炭素に対する忌避性が速やかに失われることが分かった。つまりハエにおいても、空腹時に食べ物を察知すると、リスクをとる傾向がある。では、このとき脳はどうなっているのか?

二酸化炭素を忌避する行動は本能行動であり、学習しなくても個体に備わっている。ところで、ハエの脳にある、キノコ体は学習や学習に関連した行動と関連しているとされてきた。しかし、研究者らが一時的にキノコ体の神経細胞を機能停止させると、空腹なハエは二酸化炭素に反応しなくなった。一方、満腹ハエでは、キノコ体の神経活動がない状態でも二酸化炭素を避け続けた。

さらなる研究によって、二酸化炭素の情報をキノコ体へと伝達する投射ニューロンが同定された。この神経細胞は空腹時にのみ忌避行動に重要で、空腹でないハエにとっては重要でないことがわかった。「エサを十分与えられたハエでは、キノコ体の外に存在する神経細胞を使うだけで二酸化炭素から逃げることができる。一方でおなかがすいたハエでは、キノコ体にある神経細胞が二酸化炭素の情報を伝達し、逃げることができる。キノコ体や投射ニューロンの活動がブロックされると、空腹なハエは二酸化炭素のことを心配しなくなってしまう」と本研究をリードした Ilona Grunwald-Kadowは説明する。

これらの実験の結果から、ショウジョウバエにおける二酸化炭素に対する本能行動は、ふたつの並列した神経回路によって制御されることがわかった。「おなかがすいているとき、ハエは【直通ルート】を使わず、バランスのとれた判断を下すために内外の情報を脳で処理するようになる、ということだろう」とGrunwald-Kadowはいう。「今後、どのように代謝過程や空腹が脳におけるプロセス機構に影響を与えるのかがわかれば面白い」

Publication: Lasse B. Bräcker, K.P. Siju, Nelia Varela, Yoshinori Aso, Mo Zhang, Irina Hein, Maria Luisa Vasconcelos, Ilona C. Grunwald Kadow, “Essential role of the mushroom body in context dependent CO2 avoidance in Drosophila,” Current Biology, 13 June 2013, DOI:10.1016/j.cub.2013.05.029

Source: Max Planck Institute


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by 5-gekkostate-3 | 2015-08-26 10:21 | 論文

今週のサイエンス

Sex Differences in the Gut Microbiome Drive Hormone-Dependent Regulation of Autoimmunity
Janet G. M. Markle1,2, Daniel N. Frank3, Steven Mortin-Toth1, Charles E. Robertson4, Leah M. Feazel3, Ulrike Rolle-Kampczyk5, Martin von Bergen5,6,7, Kathy D. McCoy8, Andrew J. Macpherson8, Jayne S. Danska1,2,9,*
Published Online January 17 2013
Science 1 March 2013:
Vol. 339 no. 6123 pp. 1084-1088
DOI: 10.1126/science.1233521

頻出のGut Microbiome、つまり腸内細菌を扱った研究。
『菌への曝露や性ホルモンは自己免疫疾患に大きな影響を与え、それらは女性で多く発症する。
研究グループは、若齢期における菌への曝露によって性ホルモンの分泌レベルが決まり、さらにI型糖尿病モデルマウスの自己免疫の進行が調節されることを明らかにした。
片利共生型の菌が定着することによって精子のテストステロンの分泌レベルが上昇し、I型糖尿病になるのを抑制した。
さらに、成獣オスから若齢期メスへとgut microbiotaを移すと、メスのmicrobiotaが変化し、テストステロンの増加や代謝の変化が見られた。また膵島での炎症や自己免疫抗体の産生が抑制され、I型糖尿病への防御が見られた。これらの効果はアンドロジェン受容体活性に依存していた。ゆえに、片利共生型の菌は性ホルモンのレベルを変化させ、遺伝的リスクの高い自己免疫疾患の予後を決定することが明らかになった。』
Editor's summaryでは
『自己免疫疾患のなりやすさに関与するものとして、遺伝的素因と環境要因の2つがある。しかしどのような環境要因が影響しているのか明らかではなかった。研究グループはマウスモデルを用いて、microbial factors、とくにgut microbiotaがどのように自己免疫疾患のなりやすさに影響を与えるか調べた。non-obese diabetic (NOD)マウスモデルにおいて、メスのほうがオスに比べ有意に病気にかかりやすかった。しかしこの差はgerm-freeな環境では見られなかった。
そこでオスNODマウスにおける盲腸内容物をメスに移したところ、I型糖尿病への防御を示唆するデータが得られ、これはメスにおけるテストステロンの増加と関連づけられた。アンドロジェン受容体活性をブロックすると、protectiveな効果が失われた。』
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by 5-gekkostate-3 | 2013-03-05 21:43 | 論文

ハエの研究はどんどん進みますね

Glial-Derived Prodegenerative Signaling in the Drosophila Neuromuscular System

ハイライト
→Drosophila NMJにおけるグリア由来のprodegenerative signalingの発見
→TNF-αは末梢のグリアに発現しており、neuromuscular degenerationに必要
→TNF-α受容体は運動ニューロンに発現しており、NMJ degenerationに必要
→ミトコンドリア依存的なシグナリングがprodegenerativeなメカニズムに働く

Summary

研究グループはDrosophilaのneuromuscular systemにおけるprodegenerative, glial-derived signalingを発見した。このシグナリングはcaspaseやミトコンドリア依存的なシグナリングを含む。
まず明らかにしたことは、Drosophila TNF-α (eiger) がperipheral gliaのsubsetに発現しており、
TNF-α receptor (TNFR), Wengen,が運動ニューロンに発現していること。
次にNMJ degeneration(spectrin/ankyrin 骨格を奪う?ことで惹起される)はperipheral gliaにおけるeiger変異体やeiger knockdownによって抑制される。さらに運動ニューロンにおけるwengen欠損によっても同様の抑制がみられたので、glia由来のprodegenerative TNF-α signalingの存在が示唆された。
JNK 、NFκβ のいずれもprodegenerative signalingに必要ではなかった。しかし、initiator caspaseであるDroncやeffetor caspaseであるDcp-1、ミトコンドリア依存的なシグナリングが関与していることを突き止めた。軸索や軸索末端にミトコンドリアがいないような変異体ではdegenerationが抑制され、これはDrosophila Bcl-2 (debcl, mitochondria-associated protein)や Apaf-1 (dark、ミトコンドリアシグナリングと他のシステムのcaspase活性とを結びつける)の変異体と同様であった。
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by 5-gekkostate-3 | 2011-12-09 10:59 | 論文

分野違いではあるけれど

HSPG Modification by the Secreted Enzyme Notum Shapes the Wingless Morphogen Gradient
Antonio J. Giráldez, Richard R. Copley and Stephen M. Cohen*

分泌タンパクWinglessはDrosophilaのimaginal discのパターンを形成するmorphogenとして機能する。研究グループはWingless活性を抑制する新たな分泌タンパクNotumを同定した。
Notum機能欠損によりWingless活性は上昇し、このときWinglessタンパクの濃度勾配を変化させている。過剰発現すると、NotumはWingless活性をブロックする。Notumはα/β-hydrolase superfamilyのメンバーをコードしており、pectin acetylesterasesに近い.
さらにNotumは、HSPGであるDally-likeとDallyをmodifyすることでWinglessタンパクの分布に影響を与えることが明らかになった。また、Winglessシグナリングレベルが高いとNotum発現が誘導される。
これらのことから、Notumの発現を制御することで、Winglessは自身の濃度勾配を形作ることがわかった。
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by 5-gekkostate-3 | 2011-12-08 18:45 | 論文

zebrafish, hspg

Assembly of Lamina-Specific Neuronal Connections by Slit Bound to Type IV Collagen
Tong Xiao1, Wendy Staub1, Estuardo Robles1, Nathan J. Gosse1, Gregory J. Cole2, Herwig Baier1, 3

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脳における特定のニューロン結合メカニズムはこれまでに多くの研究がなされている。
ゼブラフィッシュでは、RGCの軸索は中脳tectum neuropil中の(最低)6層に投射する。
それぞれの軸索はtarget layerの1つに単一の平らなarborを形成しtectal neuronのdendriteとシナプスを形成する。
研究グループはretina-tectum結合の層特異性はRGC軸索でのself-sorting interactionに依存しないことを明らかにした。むしろ、tectum由来のSlit1が、軸索のRobo2を介してtarget layerにneuriteを誘導することがわかった。
さらに遺伝学的・生化学的研究によりSlitはIV型コラーゲンであるDragnet (Col4a5)と結合する。Dragnetはtectum表面の基底膜を形成する。
また研究グループはradial gliaのendfeetが、Slitを基底膜にアンカーするのに必要であることを明らかにした。
これらの結果から、Slit1 signalingは表面ー深部勾配を形成し、伸長しつつあるretinal axonに層状の位置情報を提示しているのではないか?といったことが示唆された。
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by 5-gekkostate-3 | 2011-12-06 13:53 | 論文

線虫モデル

Axon Regeneration Pathways Identified
by Systematic Genetic Screening in C. elegans

Neuron, 2011

神経軸索が損傷後ふたたび伸長するメカニズムを分子遺伝学的に説明する知見はほとんどない。研究グループは線虫機械受容ニューロンでのレーザー損傷モデルを用い軸索再生を制御する654の遺伝子をスクリーンした。
そこでこのグループは軸索再生を促進したり抑制したりする機能的なgene clusterをみつけた。
そのなかには、axon guidanceに影響をおよぼすことが知られているもの、membrane excitability (?), neurotransmission, synaptic vesicle endocytosisに関わるものなどが含まれていた。Arf Guanine nucletide Exchange Factor (GEF), EFA-6は軸索のregrowthを抑制する。
遺伝学とin vivo imagingを組み合わせて、EFA-6はmicrotubule dynamicsを介してregrowthを抑制することを示し、しかもこれはArfのGEF活性に依存しないことが明らかになった。
あらたに同定されたregrowth inhibitorの中で、EFA-6の機能欠損のみがDLK-1 kinase必要性 (?)を回避した。
このようなpathwayの同定によって、軸索損傷の反応や修復の遺伝学的な基礎の理解が深まるだろう。
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by 5-gekkostate-3 | 2011-11-30 21:08 | 論文

ハエHSPG

Cell Type-Specific Requirements for Heparan Sulfate Biosynthesis at the Drosophila Neuromuscular Junction: Effects on Synapse Function, Membrane Trafficking, and Mitochondrial Localization

The Journal of Neuroscience, 1 July 2009, 29(26): 8539-8550

Drosophilaを含むあらゆる種において、HSPGはneuromuscular synapseに蓄積している。
研究グループはheparan sulfate合成やsulfationをブロックするDrosophila変異体を用いることで、neuromuscular junctionにおけるHSPGの生理機能を明らかにした。
作出された変異体ではシナプスの生理学的・形態的異常が見られたことから、HSPGはpresynaptic・postsynaptic両方で機能することが示唆された(これらの異常は適切なtransgene発現によってレスキューされた)。
特に興味深かった点が、ミトコンドリア局在の異常、骨格筋におけるGolgiやER marker分布の異常、運動ニューロンにおける刺激依存的なendocytosisレベルの上昇である。
これらのデータから、HSPGの機能は細胞表面やmatrix環境に限ったものではなく、membrane trafficking やオルガネラ分布などの広範なcellular processにも及んでいることが考えられる。
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by 5-gekkostate-3 | 2011-11-28 13:42 | 論文

筋細胞の転写因子

Nfix Regulates Fetal-Specific Transcription in Developing Skeletal Muscle
Volume 140, Issue 4, 19 February 2010, Pages 554-566

Skeletal myogenesis(骨格筋の出来かた)は2段階になっていて、最初期にはembryonic、そのあとfetalができるといわれている。それぞれの筋細胞は異なる細胞種で、異なる遺伝子を発現している。(同じ筋細胞でも途中から別物に変わるというのが面白い)。このひとたちはtranscription factor nuclear factor one X (Nfix)という転写因子がPax7によって活性化して、fetalの遺伝子プロファイルを発現させて(ON)、これまでのembryonicなプロファイルを抑制する(OFF)するスイッチ的な役割を果たすことを見つけた。


fetal...MCK and β-enolase
embryonic...slow myosin

MCK promoterにかんしては、NfixはPKC θとcomplexを形成し、MEF2Aと結合しリン酸化し活性化する。たとえば、embryonicな筋細胞にNfixを強制的に発現させるとfetal様になり、fetalに特徴的な遺伝子プロファイルを発現するようになる、など。culture系だけでなく、個体でも見ている。

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単純な話だけどきれいな証明なのでcellに載せられたんでしょうか。いいなあ。
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by 5-gekkostate-3 | 2010-04-29 11:49 | 論文

水曜日

実験はどれもうまくいかず胃が痛くなってしまった。
帰宅して風呂にゆっくり浸かり、ヨーグルトをたべたらすっかり元気です。

今日はOと助教の論文読み会がありました。
Oは神経栄養因子の軸索末端からの取り込みについて。
BDNFと受容体のTrkBは結合して、軸索を介して生存シグナルが輸送されることが知られていますが、BDNFに巨大なビーズをつけ、とりこめないようにした実験で、TrkBが単体で生存シグナルを輸送しうることは照明されました。でも生理的な条件下で、複合体を形成して輸送されているのか、この論文からではわからなかった。

自分はES細胞から単一のneuronal progenitor cellをつくってneuronに分化させたという報告と、それを利用したaxon degenerationモデル、またaxonal degenerationをひきおこす分子の探索。
galectin-1という分子をみつけて検討していました。

助教は神経栄養因子シグナリングが脳においてどの時期に依存しているかの報告。
BDNFノックアウトマウスはふつう生後すぐ死亡してしまうが、まれに数日間生きる個体がいて、それを用いた脳での検討。脳でもアポトーシスによって神経細胞が減っていた。
もうひとつは脳梁をまたぐような神経線維をもつneuronをとってきて培養して、神経栄養因子の依存性を検討。胎生19日目までと生後数日で、大きく異なっていた。まず形態的に、胎生19日目までは四方に突起をのばすものの、生後数日のものでは1本しか延びない。極性の問題か。そして胎生19日目までのneuronでは神経栄養因子による生存の促進は見られなかったが、生後数日では顕著にその効果が現れた。
やはり発達的にみても下位ニューロンのほうが先だから、栄養因子の依存性もそれだけ早いということなのだろうか。
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by 5-gekkostate-3 | 2010-03-11 01:40 | 論文

動物の社会性行動を研究中。実験の待ち時間に書きます。


by 5-gekkostate-3

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